「菊寄せ」の難しさ

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ヘリ返しの続きを少し詳しく…

角の部分の処理には「菊寄せ」という技法がよく使われます。

商品には写真のように角が丸が大きいものと小さいものがありますが、

どちらも菊寄せで処理しています。

小さい方が狭い範囲内で細かく革を寄せる作業になるため、より難しくなります。

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左が角の丸が大きい革職人 Dualline(デュアルライン)スマートキーキーケース

右は角の丸が小さい革職人 governorIII(ガバナースリー)長財布の菊寄せ箇所の拡大です。

この菊寄せの作業、実は下準備が最も重要です。

ヘリ返しで革を返す部分は漉(す)いて薄くしますが、菊寄せをする角の部分は、

包丁と呼ばれる刃物でさらに薄く漉いて、菊寄せする”適度な薄さ”に調整します。

薄く漉きすぎると革は作業中に破れやすくなり、厚いとうまく菊寄せができません。

”適度”な薄さに漉くことが、最も職人が神経を使うところで難しいのです。

革にもいろいろな種類があるため、一概にコンマ何ミリがベストとは言えません。

「革の質や違いを知り尽くした職人が、”勘” で最良の薄さに漉く。」

見えないところにこそ職人の技が生きていると言えます。

美しく仕上げるためにあらゆる手間を惜しまないことが革職人魂なのです。


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